2007-07-14

レーモンルーセル

レーモンルーセルという作家の「アフリカの印象」という作品を読んだが、異様な作品だ。
会話がまったくない、生命に対する生の感覚がない、音はあるが、流れる音がない。すべてが絵画的で、読む者に緊張を強いる書物だ。想像力の欠如のような場面でありながら不思議と生々しい。夢に出てくるような場面かというと現実的なところがないので私にとっては夢に出てきそうもない。もっとも夢自体私はほとんど見ないのだが。
これはある意味で実験的ではあるが、小説の形式にはなじまないものではないだろうか。評者の言っているように「神話の創出」というようなものではないだろう。とにかく刺激的でひっかかるところの多い小説だ。